PWAアロハクラシック U-17で杉匠真優勝

Windsurfing-MAGAZINEより

アロハクラシック
U-17で杉匠真優勝、U-20で石井孝良2位

 

IWT_Aloha Classic 2018_Day 10
世界一のユース・オールラウンド・ウェイバーは誰だ?

11月7日、10日目。U-17とU-20のファイナルが行われた。両クラスに出場した杉匠真のブログによれば「波は腰〜胸、セイルは4.5㎡、色んな思いはありますが最高に楽しかった」というコンディション。

U-17_Winner_Takuma Sugi(J-7)

U-17_Winner_Takuma Sugi(J-7)

IWTのレポートはそのU-17クラスのファイナルについて、次のように記している。「16歳のプロクラスライダーである杉は、スタートと同時にそのヒートを支配した。波の選択眼が図抜けており、その攻撃的なリッピング、レイトヒットからのエアリアルでライバルを寄せ付けず、見事に優勝を果たした」このクラスに彼の敵はいなかった。2位のニコロ・スパヌー(イタリア)に3ポイント以上の差をつけての圧勝だった。

U-20_Winner_Jake Schettewi(US-25)

U-20_Winner_Jake Schettewi(US-25)

U-20クラスのファイナルは、よりギャラリーの注目を集めた。地元ホキーパ・ローカルのジェイク・シェテウィがいたからだ。3年前、この『アロハクラシック』で表舞台にデビューしたマウイの新星は、この二年で急激な進歩を遂げている。一言で言えば、線の細さが消えて俊敏で(ユースとしては)パワフルな───ウェイブライダーなら誰もが求めるコンビネーションを具えた───17歳に成長した。プロクラスでもマークされる存在になり、今大会の同クラスで彼と対戦したプロの何人かは、何とか彼からアドバンテージを奪うべく、ヒートの早い段階で切り札となる技を仕掛けていた。

U-20_2nd_Takara Ishii(J-20)

U-20_2nd_Takara Ishii(J-20)

ホキーパでジェイクに対抗できるのは、日本の石井孝良(17歳)と杉匠真しかいなかった。だが今季IWTツアーでユース・オーバーオール・チャンプになった石井は「(ヒートの)終わりの方で良い波を引っ張り、自分の中ではかなり良い動きができて、勝ったと思ったんだけど」2位。杉は「セットをなかなか引っ張ってこれず」に3位。ジェイクの優勝を阻むことができなかった。しかし(これまでにもお伝えしてきたように)二人はまたもアロハの表彰台に立ったのだ。ただ今回のファイナルでは、二人がもつスピードとパワーと俊敏性と攻撃性を十分にマッチさせることができなかった。

U-20_Podium_(From the Left)Takara Ishii / Jake Schettewi / Takuma Sugi / Nicolo Spanu

U-20_Podium_(From the Left)Takara Ishii / Jake Schettewi / Takuma Sugi / Nicolo Spanu

ジェイク、石井、杉、三人が表彰台に立つ写真を見て、ふと思い出したことがある。今季三人は、7月に行われたPWAのポッゾ大会でも顔を合わせ、ともにプロクラスに出場している(下の2018 PWA WAVE OVERALL RANKING 参照)。ちょっと気になったので、そのときの結果と今回の結果を合わせて確認してみた。
▶︎ポッゾ(プロクラス) =ジェイク(25位T)/ 杉(25位T)/ 石井(33位T)
▶︎アロハ(U-20クラス)=ジェイク(1位)/ 石井(2位)/ 杉(3位)

(From Above)Jake / Ishii / Sugi

(From Above)Jake / Ishii / Sugi

大事なことはスペイン・グランカナリア島のポッゾは(海に向かって左から風が吹く)ポートサイドのゲレンデで、アロハが行われるホキーパは(海に向かって右から風が吹く)スタボーサイドのゲレンデであるということ。そして下に掲載した『2018 PWA WAVE OVERALL RANKING』の表を確認してみてわかったのだが、今季ポートとスタボー、両方のゲレンデで世界大会を戦い、目立った成績を残したユースは彼ら三人しかいないということだ。たとえばポッゾには強いユースが何人かいて、その筆頭がマリーノ・ギル(E-959 /16歳 / 2018PWAランキング21位)という選手なのだが、彼のスタボーサイドのゲレンデでの実力は未知数である。

ジェイクと石井と杉が、ユース世代における世界屈指のオールラウンド・ウェイバーであることは間違いない。ビッグ3と言っても過言ではないかもしれない。

彼らが(少なくとも石井と杉が)いま目指しているのは、強風ラフ海面のポッゾで勝つことでも、ビッグウェイブのホキーパで勝つことでもない。IWTやPWAのプロクラスで勝つことを覚え、そこで当たり前に勝てる力をつけていき、そして現在トップライダーと言われている選手にも勝つことだ。ポッゾでもホキーパでも、風がポートでもスタボーでも、どんなコンディションでも勝てるオールラウンド・ウェイバーとなり、時代を変えてワールド・チャンピオンになることなのだ。

日本にはその新しい時代の到来をありありとイメージさせてくれる石井と杉がいて、彼らに続かんとするユースも続々と生まれている。来年3月には『IWT御前崎』大会が開かれる。彼らは今回ジェイクがそうしたように、ホームの御前崎で海外のトップライダーたちを迎え撃つ。「何か」を期待しないではいられない。

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2018 PWA WAVE OVERALL RANKING

2018 PWA WAVE OVERALL RANKING(Extract youth)